『若草物語』でジョーとベア教授が結婚することで起きるモヤモヤ感は自分の実人生においてもたまに感じることなのできちんと人と語り合いたい。
どちらも昔からの知り合いで、お似合いの2人だと思っていたカップル(『若草物語』でいえばジョーとローリー)が別れてしまい、片方がいきなりよく知らない(&自分からすると魅力がよく分からない)人と結婚したりしてしまって、「え…」とか「前の人の方が良かったのに…」と密かに思ってしまったことはないかい? もちろん当の本人が幸せならばそれでいいし、それこそが一番重要なのであって、当人達の気持ちを無視したこの身勝手な感情を大っぴらに言うことはないけれど、自分はそういう感覚を味わったことが何度かある。
知り合いじゃなくても、たとえばブロンディのデボラ・ハリーとクリス・スタインが別れてしまって、クリス・スタインが別の若い女優(バーバラ・シクランザ)と結婚して子供まで作った時にはジョーとベア教授の結婚に近い想いを抱いたぞ(デボラ・ハリーとクリス・スタインはその後も親友であり続けているところも『若草物語』と似ている)。もちろん彼等には自分が分かっていない魅力があるんだろうし、それぞれの事情やらタイミングやらもあるから、そのモヤモヤ感も含めて人生なのだと考えるようにはしているんだが、そういう感覚を子供の頃に味あわせてくれたのが『若草物語』だったわけですよ!
だからまあ、そこにオチをつけているグレタ・ガーウィグの『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』は物足りなかったわけだが、こういう作品を誰かが一度は作っておくべきであったとも思う。