映画『ロマンティックじゃない?』(監督:トッド・ストラウス=シュルソン)観賞。★★★★。
傑作『ファイナル・ガールズ 惨劇のシナリオ』の監督による「ジャンル映画の世界に入り込んでしまう」シリーズ第2弾。今回のテーマはロマコメ映画。『ファイナル・ガールズ』がテーマにしていたスラッシャー・ホラーが80年代と強く結びついたジャンルであったのと比べると、ロマンティック・コメディは現在に至るまで延々と更新され続けているジャンルなので、そういう点でパロディとしては若干弱いか。とはいえ、『ファイナル・ガールズ』と同様に、本作も旧来的なジャンル映画の枠組みの中では主役になれなかった人の物語であり、隅に追いやられていた人に光をあてるトッド・ストラウス=シュルソンの一貫した姿勢は素晴らしいと思う。ちなみに『ロマンティックじゃない?(Isn't It Romantic?)』というタイトルは『今晩は愛して頂戴ナ』の挿入歌からの引用で、きちんとロマンティック・コメディの古典に対して仁義を切っているのも素晴らしい(つまりパロディではあるが、決してロマンティック・コメディを馬鹿にしているわけではなくて、そのジャンルのパワーを信じている人が作っていることが分かる)。『ファイナル・ガールズ』から引き続きアダム・ディヴァインが好演。