Kero Kero Bonito/Time 'n' Place
★★★★
ポリヴァイナル・レコーズに移籍したケロケロボニトの2年ぶりとなる新作。
今年初頭に発表された「Only Acting」で提示されていたようにバンド・サウンドがフィーチャーされたギター・ポップ/パワー・ポップ色の強いアルバムで、この人達はシトラスの『Wispy, no mercy』を自分達の大きな影響元として挙げていたほどなので、元々こういうロック志向もあったとはいえ、これは大きな路線変更だ。そしてセーラさんはラップをしなくなり(代わりに、なぜかジェイミーが一瞬だけラップを披露している)、日本語詞も消滅。たとえばMIYACHIが英語だけでなく日本語詞でもラップをするというボトムアップの発想によって自分の立ち位置を築いたのとは対照的な変化といえよう(セーラさんは13歳まで日本に住んでいて日本語が母国語なのに、ツイッターとかだと「日本語上手い!」程度の浅い評価しかされなくて嫌になってしまったのかな? とはいえ、今年の夏に発表されたMANONとのコラボレーション・ナンバー「SWIPE」では日本語詞でラップしているわけだが)。
メロディ・センスの良さは相変わらず際立っているとはいえ、全体的には凡百のインディー・ロック・バンド化してしまった感がなきにしもあらず。まあ、この変化の真の評価は今後の彼等のキャリア次第で決まるというところだろう。「Flyway」はオアシスの「Fade Away」みたいで良いっすね。全12曲33分。