The Pandoras/Hey! It's The Pandoras
★★★
ジョン・ウォーターズがホストを務めたバーガー・ブーガルーへの出演をきっかけとして(散発的にではあるが)活動を再開したパンドラスの再結成EP。
解散前のリーダーでありヴォーカリストだったポーラ・ピアースは1991年に死亡しているので、代わりにキム・シャタックがヴォーカリストに。また、キムの担当楽器がベースではなくてギターに切り替わっていることからも、完全にポーラ・ピアースの代役、つまりバンドのリーダーとしての役割を担っていることが分かる。現在のパンドラスのメンバーはキム、メラニー・ヴァメン(元マフス/元パンドラス)、ヒラリー・バートン(キムがプロデュースしているハニーチェインのリーダー/キムとグランブラーズというユニットも組んでいる)、カレン・バセット(元パンドラス/当時の名前はカレン・ブランクフェルド)という面子なので、実質的にはキムのサイド・プロジェクトと言った方がいいのかも。パンドラスのメンバーで現在に到るまで継続的にミュージシャンとしてのキャリアを築けたのはキムだけなので、こういう風になるのは必然かと思われる。
本作はかつてのパンドラスのレパートリーだったカヴァー曲とポーラ・ピアースが遺したオリジナル曲のリメイクで構成。ウィー・ザ・ピープルの「You Burn Me Up And Down」のカヴァーや、ポーラ・ピアースがパンドラス以前から在籍していたモッズ・バンド、アクション・ナウの「See If You Can」のリメイク(本作でもリメイクされているパンドラスの代表曲「Stop Pretending」も、元々はアクション・ナウのオリジナル曲だ)といったガレージ・ポップ色の強い選曲&サウンドは、ハード・ロック色を強めたことによって崩壊してしまったバンドと、そのまま死んでいってしまったポーラ・ピアースに対する落とし前という意味が大きいのかもしれない。そもそもパンドラスのハード・ロック化について最も不満を抱いていたのはキムなわけで。全7曲21分。