★★★
『Beautiful World』と『The Circus』では彼等の再結成が過去の栄光に依存したものでないことを証明する必要があった。『Progress』は超待望のロビー・ウィリアムス復帰作だった。『III』はまさかのジェイソン・オレンジ脱退を経て発表された背水の陣の作品だった。これらに比べると本作は強力なモチベーション/内的推進力が欠けているアルバムと言わざるを得ないだろう。まあ、それはキャリアを重ねていくと必ず付きまとってくる問題で、彼等自身もそれ分かっているのか、シグマとの共演シングル「Cry」を発表したりして外的な刺激を取り込もうとしているわけだが、やはりそれだけでは不十分なのだと思う。プリンスの「Kiss」風のギター・カッティングが印象的な「Wonderland」、ドナ・サマーの「Hot Stuff」風な「And The Band Plays」など、80's風の高品質なポップ・ソングが揃ってはいるものの、アラフィフの鈍重さが前に出てきているのも事実。まあ、誰だっていつまでもポップ・シーンの最前線にはいられないわけで、ソフト・ランディングしていくのをきちんと見守っていくのがファンってもんでしょう。というか、このままセールスが徐々に下降していけば、来日する可能性だって高まるってなもんじゃないか! ものは考えよう。