Various Artists/Manilow Tribute
★★★
ダルな雰囲気をまといながらパンクとパワー・ポップを行き来する楽曲の数々でオーストラリアのハーフ・ア・カウ・レコーズ*1を代表する存在となったスマッジ。誤解を恐れずに言うならば、彼等はオーストラリアのレモンヘッズだ。実際、レモンヘッズのエヴァン・ダンドゥとの交流も深くて、レモンヘッズの代表作である『It's A Shame About Ray』と『Come On Feel The Lemonheads』において、スマッジのトム・モーガンはエヴァン・ダンドゥのソングライティング・パートナーとして縦横無尽の活躍。スマッジのアルバムにも2人の共作曲が収録されるなど、彼等は兄弟バンドのような関係だったのだ。
そんなスマッジのデビュー・アルバム『Manilow』の発売21周年を記念して発売されたトリビュート・アルバムがこれ。コートニー・バーネット、メアリーアン・ウインドウ、ユース・グループ、そしてトゥー・アム・アイ(ユー・アム・アイのティムとデイヴィによるユニット)など、オーストラリアのロック・シーンを代表する面子がこぞって参加し、再結成ノイズ・アディクトのメンバーとしてオーストラリアのロック・シーンの一員となったルー・バーロウの名前まであるという豪華な内容で、もちろんエヴァン・ダンドゥも参加。わずか数秒のショート・ナンバーまで含めて『Manilow』の全19曲をきちんとカヴァーしきった彼等の愛情の深さにとにかく感服です。ポップな美メロ揃いのトム・モーガンのソングライティング・センスの良さを改めて浮き彫りにするようなアレンジが多いのも好感度大。トリビュート・アルバムってのはハズレが多すぎるジャンルだけど、これはお勧めです。