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ROISIN MURPHY IS BAAAACK! イタリアン・ポップスのカヴァーEP『Mi Senti』を経てついにロイシン・マーフィーが完全復活! 2007年のアルバム『Overpowered』は多種多様なトラック・メイカーを迎え入れた(レディー・ガガにまで影響を与えた)バラエティ豊かなポップ・アルバムだったが、今回は後期モロコのキーボディストでもあった(大傑作『Statues』のブックレットにも写真が載っている)エディー・スティーヴンスを全面的な共作者として登用。後期モロコと同様に生演奏を中心に組み立てた、『Statues』の12年ぶりの続編ともいえるダンス・アルバムを仕上げてきた。アルバムのオープニングを飾る「Gone Fishing」からして映画『パリ、夜は眠らない。』(ヴォーギングを世間に深く知らしめた名ドキュメンタリー)へのオマージュで、相変わらずゲイ・カルチャーに対する強烈なリスペクトが感じられるのがとにかく素晴らしいし、モロコ時代のようなファンク・テイストが復活しているのも嬉しい。『Statues』と本作で大きな違いがあるとすれば、前者は深夜のダンス・フロア鳴らされるべき音楽だったのに対して、本作は深夜の孤独なベッドルームで鳴らされるべき音楽であるという点だろう。この変化にロイシン・マーフィーの年輪を強く感じるといったら言い過ぎだろうか。12年の間に失ったものもあれば、新たに得たものもある。でも、たとえ場所が変わったとしても、いつまでもダンスは続くのだ。夜は眠らない。全8曲50分。
↑「これがニューヨークのゲイ・ライフ!」