Noel Gallagher's High Flying Birds/Chasing Yesterday
★★★★★
なんだよ、傑作じゃんか。前作『Noel Gallagher's High Flying Birds』はオアシス時代に書かれた(ベスト盤のタイトルにもなっている)「Stop The Clocks」をアルバムの核として置いた、オアシスの事後処理という側面が強い作品だっただけに、本作でようやくオアシスの呪縛から解放された感がある。
他人とコラボすると「Setting Sun」や「Let Forever Be」のようなグルーヴィな名曲を生み出せるのに、オアシスに戻るとどうにもモッサリズムな曲しか生み出せなかったノエル。オアシスにおいても「D'You Know What I Mean?」でN.W.A.の「Straight Outta Compton」のビートをサンプリングした時からグルーヴに対する試行錯誤は始まっていたわけだが、やはり曲を書く時にリアムのヴォーカル・スタイルを意識せざるをない状態が常態だったことがノエルにとって重しとなっていたのかもしれない。本作では「AKA... What a Life!」などで垣間見えていたリズム面の改善がついに全面的に結実。「Morning Glory」を彷彿させる「Lock All The Doors」や、「Fade Away」を彷彿させる「You Know We Can't Go Back」など、久しぶりに軽やかな疾走感溢れるロックンロール・ナンバーが聴けるのも嬉しいし、個人的には『Definitely Maybe』以来の愛聴盤になりそうっす。全10曲43分。