映画『オーケストラの少女』のディアナ・ダービンが91歳で死去。以下、「踊る大ハリウッド」より転載させていただきます。
何事につけディアナは自分で判断し、自分で決める人だったのです。スクリーンに立ちのぼる彼女の爽やかさは、おそらくその「きっぱりとした決断力」に裏打ちされたものだったのです。
ディアナ・ダービンは特異なスターです。観客はスクリーン上に放たれるその明るさと行動力に魅せられ、歌を愛し、仮想の彼女自身を追い求めていきます。"Little Miss Fix-It”のイメージは個々の映画を飛び越え、ディアナ・ダービンという一つの作品を作り上げます。「いつまでも突然歌い出す"Little Miss Fix-It”ではいられない」と彼女が語った時、まさに引退を決断するしか道は残っていなかったのです。
彼女の偉大な健康さは、その力によって「ディアナ・ダービン」を作り上げ、そして最後はその力によって「ディアナ・ダービン」に終止符を打ったのです。
後年、ジュディ・ガーランドはパリでばったりディアナ・ダービンに出会います。ディアナはいかにも幸せそうだったといいます。ジュディはこの昔の同僚に自分の悩みを打ち明けます。すると、ディアナは笑いながら言ったそうです。
「そんな仕事、どうしてやめちゃわないの? お馬鹿さんねェ」
「やぶからぼうに吠えてみる」の追悼記事も是非。