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トウが立っているアイドルことカーリー・レイ・ジェプセンの2ndアルバム。前作にあったオーセンティックなシンガー・ソングライター風味は完全に消え失せ、一気にシンセポップへと歩み寄ったイケイケの内容へと変貌を遂げており(ロビンにインスパイアされたらしい*1)、その節操のなさに対してセルアウトという批判が出て来ても仕方がないとは思うんだが、実はポップ作品としての作りは非常にしっかりとしている。何しろ、オープニング・ナンバーの「Tiny Little Bows」でまず聞こえてくるのがサム・クックの歌声(「Cupid」をサンプリング。この曲はシー&ヒム「Thieves」の元ネタでもある)で、続く2曲目の「This Kiss」はLMFAOのレッドフー*2をプロデューサーに迎えたナンバー、3曲目の「Call Me Baby」は言うまでもなく2012年最大のヒット曲なわけで、アルバム冒頭の3曲だけで直近50年間のポップ・ミュージック史を一気に総ざらいできるという仕組みなのだ。2012年のサマー・アンセムである「Good Time」(アウル・シティーとの共演曲)も収録されているわ、アルバムのエグゼクティヴ・プロデューサーはジャスティン・ビーバーだわで、2012年に考え得るかぎりのポップの輝きがこれでもかと詰め込まれた1枚。全12曲42分。傑作。