ミシェル・ウィリアムズ主演の『ウェンディ&ルーシー』が今月末についにDVD発売されるんだね。これ、タイトルだけ聞くと『ロミー&ミッシェル』とか『大統領に気をつけろ!』みたいな「元気いっぱいのガールズ・ムーヴィー!」を想起してしまうかもしれないけど、実際には切りつけられるような孤独と貧しさが身に染みまくる、映画版『Nebraska』みたいな作品なんすよ。最近でいえば、たとえば『ウィーンターズ・ボーン』や『フローズン・リバー』なんかと同系統ではあるんだが、こちらは劇的な事件が起こるわけではなくて、もうただひたすらに孤独で貧しいだけなので地味といえば地味。でも、それ故に強烈な普遍性を獲得している作品であるとおいらは思う。犬映画としての完成度も高し。しかもたったの80分だしね。
imaginary possibilitiesさんのレビューも素晴らしいっすね。
ウェンディ(ミシェル・ウィリアムズ)はとにかく歩く。そして、とにかく立ち止まる。佇む。見つめる。案ずる。少年のような無垢さと直向さ。しかし、口を硬く噤んだ彼女の強さは、自己愛として費やすばかりではない。唯一の愛を注げる対象(愛を感じられる他者)を守らねばという使命にも向けられる。旅を続けるため、ルーシーを見つけるため、奔走するウェンディが垣間見る世界には、過剰な悪意も不自然な慈善もない。しかし、そこには各人にとって必要な略奪と贈与があるだけだ。
↑予告編からして死ぬほど地味だなあ。おいらの生活もこれと大差ないので他人事じゃないですよ、マジで。