Steve Martin & The Steep Canyon Rangers/Rare Bird Alert
★★★★
映画俳優として主役を張るのが難しくなってきたせいもあるのか(『ベイビーママ』で飛び道具として使われているのを観た時は悲しかった)、最近はミュージシャンとしての活動に本腰を入れつつあるスティーヴ・マーティン。そもそもこの人は知る人ぞ知るバンジョーの名手であり、その腕前を存分に披露した前作『The Crow』がグラミー賞を受賞するほどに好評だったのを受けて、約2年という短いスパンで早くも新作が登場。
前作に比べると歌もの度が上昇していることもあって、フィーチャリング・シンガーの布陣は前作を遥かに凌駕。「Best Love」ではなんとポール・マッカートニーが参加! 迷作ミュージカル映画『サージャント・ペッパー』でスティーヴ・マーティンはビートルズの「Maxwell's Silver Hammer」を歌っていたし(『リトルショップ・オブ・ホラーズ』で彼が演じたオリン・スクリベロの原型!)、個人的には待望の邂逅!といった感じだ。そして、全米アルバム・チャートで2位まで上昇し、彼の代名詞ともなった『Wild & Crazy Guy』のラストを飾っていた「King Tut」(当時バックを務めたのはニッティー・グリッティー・ダート・バンド!)をバンジョー込みのブルーグラスなアレンジで再演しているのがまた嬉しいじゃないか。スティーヴ・マーティンのソングライティングも前作以上に冴えているし、またグラミー賞を受賞したとしても何ら不思議ではない。ハーポ・マルクスのハープ・アルバムを聴く感覚でどうぞ。全13曲41分。
↑後ろで背景プロップを持っているのはヘンリー・ウィンクラー。