Wheatus/Pop, Songs & Death: Vol. 2 - The Jupiter EP
★★★★★
本来ならば今年の5月頭に発表される予定が、デビュー10周年記念ツアーの準備やら何やらで完成が遅れていた『Pop, Songs & Death』シリーズ第2弾。でも、なんとか年内には間に合った!
前作『Pop, Songs & Death: Vol. 1 - The Lightning EP』について、おいらは「過渡期の出口」と評したが、本作はまさにウィータス第2章の幕開けを告げる傑作だ。基本的には前作の延長線上にある、SONOMAのDSD録音を最大限に活かした(ECDの『TEN YEARS AFTER』と並び称されるべき)ILLすぎる音像のハード・プログレ路線なんだが、前作の沈み込むような暗さとは対照的に、どこか吹っ切れたかのような前向きさ(後ろ向きの末の前向きさ、とでも言うべきか)が作品全体から感じられるのだ。前作ではまだ普通のポップ・ソング然としたナンバーも散見されていたのに対し、本作では長尺ナンバー6本勝負!と徹底的に割り切った作りになっているし。いや、そりゃあまあ本作と『Hand Over Your Loved Ones』のどちらを取るかと言われればもちろん後者を取りたいけど、縮小再生産に陥らずに聴き応えのある意欲的な作品を作り続けているというだけで評価に値するし、応援し続けたくもなるってなもんだ。
今回も購入者自身が自由に価格を決めて公式サイトからダウンロードできるドネーション方式(「0ドル」も可)が採用されているので、とりあえず最初はタダでダウンロードして試聴してみそってば。5ドル以上支払えばボーナス・トラックとして「Freak On」と「Pretty Girl」(オリジナル・アルバム未収録ながらもライヴの定番曲)のアコースティック・ヴァージョンが、25ドル以上支払えばCD&DVDセットが特典としてもらえるょ。
ちなみに『Hand Over Your Loved Ones』も上記のドネーション方式で(つまり無料でも)ダウンロードできるので、未聴の方がいたら是非! 00年代を代表する大傑作パワー・ポップ・アルバム! 『The Jupiter EP』との振れ幅から、ブレンダン・ブラウンの鬼才っぷりも分かりまくること請け合い。