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21世紀のシンガー・ソングライターとして理想的なあり方を体現している大傑作、と個人的には思うんだが、またもや日本盤が出る気配がないのは勿体ないなあ。
この人が面白いのは、ビリー・ブラッグの「A New England」をカヴァーしてしまうような正統派シンガー・ソングライターとしての側面と、「ストリーツ以降」な英国的ヒップホップ感覚が無理なく融合しているところ(ボンゾ・ドッグ・バンドの「Trouser Press」をサンプリングするセンス!)。レディー・ソヴァリンの傑作『Public Warning』にも通じるロンドンの下町風情が強く出ているのも嬉しい。
前作『Panic Prevention』が大ヒットしたにも関わらず、相変わらず宅録音源が中心で、たとえばジャック・ペニャーテが新作『Everything Is New』で器用貧乏なところを露呈してしまったのに比べると遥かに身の丈にあったサウンド・プロダクションなので一安心。前作のジャケットでイアン・デューリー好きをアピールしていたり、「Ike & Tina」なんてタイトルのナンバーがあったのに続いて、本作でも「Earth, Wind & Fire」なんてナンバーがあったりと、相変わらず先達への愛も溢れまくりでまったくたのしいぜGO GO、というわけでTheピーズのファンにもお勧めしたいね。全11曲42分。