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超横綱相撲。UKアルバム・チャートの週間売り上げ記録歴代3位(1週間で43万枚!)というバカ売れっぷりも納得。再結成第一弾アルバム『Beautiful World』での中途半端に日和った「大人のポップス路線」にはどうにも納得がいかなかったんだが、今回のように曲の粒が揃いまくっていればグウの音も出ませんわ。
本作がこれだけの傑作になったのは、id:lyme-recordsさんも書かれているように、マーク・オーウェンの貢献が大きいと思われる。彼は解散前のテイク・ザットだと「Babe」ぐらいしか代表曲がなかったが故に、ソロ活動では当初からグループ時代のイメージに縛られずに自身のソングライティング能力を地道に磨き続けていて、それが前作収録の名曲「Shine」を経て本作で完全に結実したのだ。
マーク主導のナンバーはどれも王道の英国ポップで、どちらかといえばアメリカ志向の強いゲイリー・バーロウの楽曲と見事なコントラストを成している。というかアルバム・タイトル曲の「The Circus」はゲイリー主導のナンバーなんだけど、マークに影響されたのか、メロトロンをフィーチャーしたサウンドは完全にビートルズ/ジョン・レノンで、歌詞が「みんなサーカスを愛してる/そして僕はその中でたった一人のピエロ」とまるでキンクスみたいな世界観。結果的にアルバム全体がやたらと英国色の濃い仕上がりに。それを象徴しているのがシークレット・トラックとして収録された「She Said」で、なんとこの曲はポール・マッカートニーが『イン・ザ・ワールド・トゥナイト』で遊んでいたメロトロンのプリセット・フレーズを組み合わせて作られているのだった(この動画だと該当シーンは3分40秒過ぎから。「She Said」と聴き比べてみるのも楽しいと思う)。
「イギリスの国民的グループ」の名に相応しい作品。全13曲50分。
Take That - Hello
Take That - Shine