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『大都市を電車はゆく』は昨年のベストの1つに挙げたぐらいなので以前から好きなことは好きだったんだけど、先月の28日に行われたおたより実演会でのライヴを観て、完全にこの人の音楽の虜になってしまった。この際だから声を大にして言っておこう。グディングス・リナは日本が世界に誇るべきDJ/トラックメイカー/シンガー・ソングライターである! いやあ、あんまりにも感動したから先週の金曜日も二子玉川でのライヴに行っちゃたじゃないか。ライヴでは「言葉をメロディに乗せて何が表現できるか」ということについて徹底的に突き詰められていて一見の価値ありなので、機会があればぜひ。特に「白日の花火」(『大都市を電車はゆく』収録)がヤバいのよ。
と、そんな折に早くも新作が届いたんだから嬉しいじゃないの。とはいっても、オリジナル・アルバムではなくてカヴァー・アルバム。おそらくは最近のカヴァー・アルバム流行りに乗っかって客層を広げようという思惑があるんだろうけど、作品の方は手抜きの一切ない真摯な仕上がり。橋幸夫「恋のメキシカン・ロック」〜ラッツ&スター「め組の人」〜電気グルーヴ「Shangri-La」〜サンボマスター「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」まで、どれも有名どころからではありながらもリナ氏の確かな音楽観がうかがえる選曲(DJセニョリーナ名義で発表したミックスCD『TERRA DISCO』において、岡村靖幸「聖書」の自身によるカヴァーとレディー・ソヴァリン「A Little Bit Of Shhh」をマッシュアップしていたのは忘れられない)と、自作のインスト・ナンバーを間に挟んでミックスCD仕立てにした凝った構成もあって飽きさせない。
特に、本作を作るきっかけにもなったというジャジーな「Shangri-La」(そういえばリナさんってラッパーもかくやというぐらい歌詞で韻を踏みまくるんだけど、そのセンスがどことなく電気っぽいんだよな)と、サンボマスターの洗練された側面をすくい上げたサンバ風味の「世界はそれを愛と呼ぶんだぜ」は名カヴァーだと思う。まあ、基本はあくまでもカヴァー集なので、ソングライターとしての魅力が全開になっていないのは残念なものの、ドナルド・フェイゲン『The Nightfly』をパロったジャケも素敵なので、グディングス・リナ入門盤としてもお勧め。これを気に入ったら『大都市は電車をゆく』も聴いて欲しいな。で、改めて思ったんだけど、『大都市を電車はゆく』ってサウンドは打ち込みバリバリだけど、本質的にはフォーク・アルバムだよね(タイトル・トラックはトレイシー・チャップマン「Fast Car」にインスパイアされたらしいし)。
Goodings RINA 「大都市を電車はゆく」
↑Shing02のラップも良いねえ。
G.RINA - 山の手マジックカーペットライド