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ラーズばりにアコースティック・ギターが掻き鳴らされるポップな1stソロ『Happening For Love』〜ラーズの再結成を経て発表された2ndソロ『Willow She Weeps』は、スキッフル色の濃いレイドバックした内容で拍子抜けしてしまったのだが、この最新ソロ・アルバムを聴いて合点がいった。要するにジョン・パワーはラーズの音楽に潜む「マジック」のタネ明かしを行っていたのだな。神格化を拒否する潔い態度。
というわけで、本作ではラーズの重要な影響元であったキャプテン・ビーフハートを彷彿とさせるグルーヴィなロックンロール・アルバムに仕上がっているのだった。それも、世界で最も猥雑でエグいガレージ・ロック/ブルース/R&Bをやっていた『Safe As Milk』の頃の牛心隊長だ。これはヤバいよ。もちろんジョン・パワーらしい人懐っこいメロディも健在なので安心してくれたまえ。そして何よりも、本人達が楽しげに演奏しているのが伝わってくるライヴ感満点のサウンドに仕上がっているのが嬉しいじゃないか。リー・メイヴァースもこのアルバムを聴いて悔しがっていることと思うぞ。キャスト時代も含めて、ジョン・パワーの最高傑作と断言したい。全10曲25分。必聴。
あと、どうでもいいけど発売元のインディー・レーベルの「TANUKI TANUKI」って名前は何なんだ? もしかしてKITSUNEに触発されたとか?