映画『ブラック・スネーク・モーン』(監督・脚本:クレイグ・ブリュワー)観賞。★★★★。
ヒップホップ映画の傑作『ハッスル&フロウ』に続くクレイグ・ブリュワーの新作は、「監禁もの」のエロティック・サスペンスに見せかけておいて、実はまたもや音楽映画。しかも今回の題材はブルースだ!
ブラインド・レモン・ジェファーソンの同名曲からタイトルを頂きながら(そしてサン・ハウスのアーカイヴ映像を使用しながらも)、映画自体はR.L.バーンサイド(ジョン・スペンサー・ブルース・エクスプロージョンとの競演アルバム『A Ass Pocket of Whiskey』を覚えてるかい?)に捧げられていることからも分かるように、『ハッスル&フロウ』に比べると「ひねり」を前面に押し出した作り。それは要するにブルースという題材に今の時代の観客を引き寄せる為でもあるのだが、そのせいで「はみ出し者達が擬似家族を築いていく」という『ハッスル&フロウ』と同じ内容を描いていることが分かりにくくなっているきらいはある。サウンドトラックとしてドス黒いブルース・ナンバーが並ぶ中で、ほとんど唯一の白人ロック・ナンバーとしてジョン・ドーの「The Losing Kind」(『Forever Hasn’t Happened Yet』に収録)が使われているのはいかにも00年代の映画だなあ、という感じ。
ミシシッピ出身のラッパー、デヴィッド・バナーが『ハッスル&フロウ』におけるリュダクリス的な役まわりでいい味。っていうかクレイグ・ブリュワーの映画には「ラッパー枠」みたいなものでもあるのかね?