Polly Paulusma/Fingers & Thumbs
★★★★
3年前の「今月のマスターピース」でも取り上げたポリー・ポールズマの2ndオリジナルアルバムが遂にリリース。今作が完成するまでには色々と辛い紆余曲折があったようで、それについてはla clefさんのこちらの記事を参照のこと。
そのせいか、サウンドにも大きな変化が生じており、前作がアコースティック・ギターのアルペジオを中心に構成された、ほとんど宅録同然の作品だったのに対して、今作はエレクトリック・ギターのコード・ストロークを中心に構成された、力強いバンド・サウンドをフィーチャーした作品となっている。前作が「00年代の英国版ジョニ・ミッチェル」だったとするならば、今作は「00年代の英国版リッキー・リー・ジョーンズ」といった感じか。
ただし、「うた」の骨格自体は前作とほとんど変化がないので、少しチグハグな印象がある。前作(全11曲45分)に比べると、今作(全10曲48分)がやや長尺になっているのはアレンジが煮詰められていない証左だろう。この路線を突き詰めればメアリー・ルー・ロードの『Baby Blue』のような大傑作になった可能性もあるだけに勿体無い。今作における「Back To The Start」のようなコンパクトで突き抜けた曲を次作ではもっと聴きたいというのが個人的な要望。
彼女の出産直前に撮影されたというジャケット写真は、「母親」の強さと美しさを見事に捉えた惚れ惚れする出来。今年のジャケ写大賞決定だな。
Polly Paulusma - Back to the Start