Angels & Airwaves/We Don't Need To Whisper
★★
つまり「エモ」とは90年代〜00年代のプログレッシヴ・ロックなのだな。おいらは前々から「ゲット・アップ・キッズやジミー・イート・ワールドなんかを聴くぐらいならばラッシュとかイエスを聴くわ」と言ってきたんだが、エモはかつてのプログレッシヴ・ロックと同様に、そうした過去との繋がりを隠しているが故に音楽としては弱いのであった。
ブリンク182のトム・デロングによる新バンドのデビュー・アルバムは、「エモ+打ち込み」というブリンクのラスト・アルバムのサウンドをさらに発展させたものだが、何故にブリンク182という偉大なバンドのメンバーがいまさらエモなんぞに擦り寄る必要があるのか。隠し味程度にエモの要素を取り入れたブリンクの『Take Off Your Pants And Jacket』を彼等の最高傑作と考えているおいらでも、さすがに今作は肯定しかねる。
そもそも、ブリンク182というバンドはかなり割り切ってポップ・パンク道を邁進してきたわけで、ある程度の地位を得た今になって、ようやく自分の本当にやりたい事を本格的に始めたという流れなのだろう。結果としてはブリンク時代の反動という側面が強すぎて、あまりにもクドいという印象だ。ジャケットやPVのビジュアル・センスもラルク・アン・シエルみたいでどうかと思うぞ。先行シングル「The Adventure」で使われているループはウイングスの「Silly Love Songs」みたいで好きなんだが。全10曲49分