映画『Wedding Crashers』
(監督:デヴィッド・ドブキン)
★★★
『シャンハイ・ナイト』の監督・主演コンビの新作だが、ジャッキー・チェン抜きであの傑作を超えるのは難しかったようだ。
ヒロインのレイチェル・マクアダムスがオーウェン・ウィルソンに対して「You're not that young.」と言う場面が象徴的なように、本作は『アダルト・スクール』からの流れを汲む、フラット・パックの連中による「若中年危機」もの映画である。ただし、『アダルト・スクール』と違ってこちらはあくまでもラブコメなのだから、どうしてレイチェル・マクアダムスとオーウェン・ウィルソンがそこまで惹かれあったのかをもう少し丁寧に描く必要があったと思う。
しかも、当然最後はウェディング・クラッシャーであるオーウェン・ウィルソンが悔い改めてレイチェル・マクアダムスと結ばれるわけだが、オーウェン・ウィルソンが最初からこの役をあまりにも魅力的に演じてしまうから、彼が悔い改める必要性などまるでないように思えてきてしまうのだ。もちろん主人公がチャーミングに見えるのは悪い事でも何でもないので、要するに脚本上の工夫が足りないだけなのである。他にも「色情狂の母親」とか「引きこもりで隠れホモの弟」とか、美味しい役を作っておきながら活用できてねえんだよな。ステーヴ・フェイバー&ボブ・フィッシャーという新進脚本家コンビの本作での仕事は、『シャンハイ・ナイト』でのアルフレッド・ガフ&マイルズ・ミラーの職人技と比べるとさすがに杜撰と言う他ないな。
デヴィッド・ドブキンの演出は安定しているし、アイズレー・ブラザーズの「Shout」がかかる場面なんかは本当に最高なんだが、期待が大きすぎただけにおいらにはどうしても欲求不満が残ってしまったよ。何はともあれ、2005年にアメリカで最もヒットしたコメディ映画なので、とりあえずは一見をお勧めしておく。今やフラット・パック勢を追わないとハリウッド映画を語れないのは間違いないので。