2020年1月26日(日)に渋谷ユーロライブにおいて、はみ出し者映画の特集イベント「サム・フリークス Vol.7」を開催します。『グッド・ライ』『ぼくたちのムッシュ・ラザール 』のフィリップ・ファラルドーが手掛けた児童映画の傑作『本当に僕じゃない!』と、アメリカ版『珈琲時光』かつゾーイ・カザンの最高傑作である『エクスプローディング・ガール』の2本立てです。前売チケットはPeatixで販売中です


マフスのキム・シャタックの追悼記事をローリングストーン ジャパンに執筆しました


「ダム・インク(Dumb Inc.)」名義での活動も。
バンドキャンプで「隣り合わせ」や「」といった曲などが試聴&フリーダウンロードできます。SoundCloudもあります。


★★★★★=すばらしい ★★★★=とてもおもしろい ★★★=おもしろい ★★=つまらない ★=どうしようもない

pikao2007-01-26

Munki Brain』が非常に良かったので、クイアーズの簡単なディスコグラフィー紹介でもしてみようと思う。ちなみに、Lookout! Recordsから発表された6作品(『Grow Up』、『Love Songs For The Retarded』、『Beat Off』、『Move Back Home』、『Don't Back Down』、『Pleasant Screams』)は、Lookout!からバンド側への印税未払いが原因で現在は販売が差し押さえられており、若干入手が難しくなっている模様(追記:2006年にマスター・テープを取り返したジョー・クイアーが、自らの管轄下で『Love Songs For The Retarded』などを順次リマスターして再発していったので、現在は全作品が容易に入手可能となっている)。


ブライアン・ウィルソンに匹敵する、ジョー・クイアーの切れ味鋭いソングライティングを一人でも多くの人に味わってもらいたいと思うなり。


Grow Up』(90年) ★★


1stフル・アルバムにして、いきなり再結成盤。クイアーズは元々は80年代前半に活動していたハードコア・パンク・バンドで、80年代後半には活動停止状態に陥っていたようだ。で、改めてラモーンズ・スタイルのポップ・パンク・バンドとして仕切り直して録音されたのが本作、と。ただし、内容はショーン・スレイドによるオルタナティヴ・ロック風のサウンド・プロダクションとクイアーズのポップ・センスが全く噛み合っていない失敗作。『Don't Back Down』においてリメイクされる「Love Love Love」のオリジナル・ヴァージョンを収録(2007年に発売されたリミックス&リマスター盤はオリジナルとは全く違う内容なので要注意。参照


Love Songs For The Retarded』(93年) ★★★★


『Grow Up』の失敗を繰り返さないように、盟友のベン・ウィーゼル(@スクリーチング・ウィーゼル)にプロデュースを依頼し、わずか24時間で一気に録音された初期の代表作。本人達もこれが正式な1stアルバムと考えているようだ。「知恵遅れのためのラヴ・ソング集」というタイトルからして素晴らしいよな。現在でもライヴの定番となっている楽曲が多数収録されている。


Beat Off』(94年) ★★★★★


クイアーズのアルバムはポップな楽曲の合間合間にハードコア・パンク調の楽曲が挟まれるのが大きな特徴なんだが、本作はポップな楽曲を含めて全編ハードコア・パンク・モードの演奏で押し通した異色作にして大傑作。このキチガイ寸前の怒涛のテンションは凄すぎる。スクリーチング・ウィーゼルのメンバーをバック・バンドに起用しての録音。


Move Back Home』(95年) ★★★★★


『Love Songs For The Retarded』のスタイルに戻って録音された4thアルバム。前作に対する反動からか、ハードコア・パンクな楽曲がいつもに比べて少なくなっており、クイアーズのポップな側面が強調された作品に仕上がっている。ビーチ・ボーイズ「Hawaii」のカバーあり。個人的には初期クイアーズで最も好きなアルバム(なのでダム・インクで本作収録の「I Can't Get Invited To The Prom(プロムに行けなかったよ)」をカバーしているのであった)。


Don't Back Down』(96年) ★★★★


ジョー・クイアーのビーチ・ボーイズが前面に押し出された5thアルバム。アルバム・タイトル曲の「Don't Back Down」は勿論ビーチ・ボーイズのカバー。ファンの間では名盤とされているんだが、個人的にはいかにもLookout!的な大味なサウンド・プロダクションに少し馴染めないかな。ジョー・クイアーとリサ・マーが共作した「I Can't Get Over You」は大名曲。


The Queers - Punk Rock Girls


Punk Rock Confidential』(98年) ★★★★★


メンバー総入れ替えが敢行され、ジョー・クイアーを中心とする柔軟なユニット状態となったクイアーズの第1弾アルバム。成熟したポップ・パンク・サウンドが展開される、現在のクイアーズの雛形となった傑作。ハーマンズ・ハミッツの「ミセス・ブラウンのお嬢さん(Mrs. Brown You've Got A Lovely Daughter)」に対するオマージュ「ミセス・ブラウンの醜いお嬢さん(Mrs. Brown You've Got An Ugly Daughter)」収録。


Beyond The Valley Of The Assfuckers』(00年) ★★★


クイアーズの初代ボーカリストであったウィンピーが全面的に参加した問題作。久しぶりにハードコア・パンク・スタイルの楽曲が多数収録されている。彼等としては『Beat Off』みたいなことをもう一度やりたかったんだと思うが、ジョー・クイアーのポップ・センスがほとんど活かされておらず、ファンの間では大不評。


Pleasant Screams』(02年) ★★★★★


ジョーイ・ラモーンとクイアーズの元ドラマーのヒュー・オニール(共にガンで死亡)に捧げられた8thアルバム。ひたすらポップ!ポップ!ポップ!な、活力に満ちた大傑作。私見では現時点におけるクイアーズの最高傑作。ジョーイ・ラモーンが遺した未発表曲を発展させて完成させた「I Wanna Be Happy」が泣けて泣けて。『別冊宝島 音楽誌が書かないJポップ批評41 ブルーハーツ/ハイロウズ ヒロトとマーシーの20年』でも少し書いたことだけど、この作品おいてジョー・クイアーはついにブライアン・ウィルソンとジョーイ・ラモーンを超えたのだと思う。


Munki Brain』(07年) ★★★★★


というわけで、5年振りに発表された本作でも相変わらずジョー・クイアーは絶好調だ。今の時代に「パパパ」コーラスをやっても嫌味にならないのはクイアーズぐらいなもんだぜ。こんなにも普遍的なポップ・バンドがギター・ポップ/パワー・ポップ・ファンの間でほとんど無視されているってのは、あまりにも勿体無いと思うね。


Later Days and Better Lays』(99年) ★★★


マフスにおける『Hamburger』的な位置付けのレア・トラック集。映画『フリークス』の画像を使用したジャケットが素敵やね。マフスの名曲「End It All」のカバーが収録されているので、オリジナル・アルバムをそろえたらこちらも要チェックのこと。