ブラックスターキッズの新作『CYBERKISS*』収録の「SEX APPEAL」のアウトロで唐突に映画『デュース・ビガロウ、激安ジゴロ!?』をネタにしたギャグが出てきて思わず笑ってしまった。「It's me, Rob Schneider from Deuce Bigalow: American Gigolo〜」と、堂々と自分をロブ・シュナイダーと偽って大嘘をついてくるブラックスターキッズの根性は見上げたものだと思う。っていうかタイトル間違ってるぞ(正しくは『Deuce Bigalow: Male Gigolo』)。
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『そしてバーバラはアランと出会った』は、Disabled People's Direct Action Network(障害者の直接行動ネットワーク)を率いてイギリスのDisability Discrimination Act(障害者差別禁止法)を制定に導いたバーバラ・リシキとアラン・ホールズワース(ジャズ・ロック・ギタリストのアラン・ホールズワースとは別人)の活動を描いたBBC製作によるTV映画。
脚本を手掛けているのは『ワンダー 君は太陽』や『イントゥ・ザ・スカイ 気球で未来を変えたふたり』の脚本家でもあったジャック・ソーンで、オープニングから車椅子の使用者が全く歩けないわけではない(場合も多い)ことをサラっと描いたりして、サクサク楽しく、そして辛辣に進んでいく67分。自身も小児麻痺の後遺症で左半身が不自由だったイアン・デューリーの「What A Waste」がフィーチャーされていたりと音楽の使い方も気が利いており、エンディング・テーマとして使われているX・レイ・スペックスの「Identity」には感動してしまった。リンダ・リンダズもサマーソニックのライヴでの出囃子にX・レイ・スペックスの「Germ Free Adolescence」を使っていたし、ゼイ・ヘイト・チェンジも最新作でX・レイ・スペックスに敬意を表していたし、やっぱり今こそX・レイ・スペックスなんですよ。
ハンナ・マークスの脚本&主演作である『Banana Split』もX・レイ・スペックス大フィーチャー映画でありました。
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季節は変わり/木の葉の色も変わっていく/私はそんなにバカじゃないから/お風呂のお湯が冷めていくことぐらい分かってる/季節は変わり/木の葉の色も変わっていく/私はそんなにバカじゃないから/自分のジョークが古びていくことぐらい分かってる
でも私はあなたと共に/同性愛者の宇宙訓練生として/世界の果てまで旅をしたい/「お楽しみはこれからだ」と言って/ここから旅立っていきたい/後悔はしたくないから/これまで怖くてできなかったことをしたい/だって私はあなたと出会って/忘れられない思い出を幾つも作ってきたから
ランデ・ヘクトの新作『House Without A View(眺めの悪い家)』収録の「Gay Space Cadets」は、コードが4つのアホみたいに単純な曲なのに感動してしまう。「歳を重ねていくこと」について真摯に向き合った名曲だと思う。
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「これが最後!」って20年以上前の『ジェイ&サイレント・ボブ 帝国への逆襲』の時から言い続けていて、すでに「終わる終わる詐欺」の賞味期限も完全に切れているケヴィン・スミスだが、それでもベン・アフレックを筆頭とするお馴染みの面々が予告で登場するだけで笑ってしまう。とりあえず配信だけでもいいから日本でもリリースしてくれ。『ジェイ&サイレント・ボブ リブートを阻止せよ!』を未見の方は、今のうちにNetflixで観ておきましょう。『クラークス』シリーズの前作『クラークス2 バーガーショップ戦記』(傑作)もぬるっと配信されております。
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そういえば、『ベルモンドの怪人二十面相』のラストは『まぼろしの市街戦』のそれに通じる詩情があったすよね(そこまで大層なものでもないけど)。