先日25周年記念版がリリースされたR.E.M.の『New Adventures In Hi-Fi』は、ワールド・ツアー中のサウンドチェックやライヴ・ステージ上で録音を進めていったロード・ムービー的作品だ。これは同様にライヴ・ステージ上で新曲を録音していったニール・ヤングの『Time Fades Away』が影響元であることをR.E.M.側も認めている。というわけで『New Adventures In Hi-Fi』収録の「Low Desert」のリフの元ネタは『Time Fades Away』収録の「Last Dance」だと思うんですが、どうでしょうか。
■
1987年に発表されたブルース・スプリングスティーンの『Tunnel Of Love』は、結婚生活が破綻しかけていた当時の彼の状況が反映された非常にパーソナルな作品。サウンド的には大ヒットした前作『Born In The U.S.A.』収録の「I'm On Fire」の延長線上にあるもので、ほぼワンマン・レコーディングでドラムマシーンやシンセサイザーを多用しており、今の感覚からするとほとんどアンビエント・フォークといった風情だ。今聴いても新鮮。
というか1998年の時点で、このアルバムからの曲と「I'm On Fire」を映画『ノー・ルッキング・バック』で大フィーチャーしていたエドワード・バーンズは目の付けどころ&センス良すぎ(『ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋』より21年早い)。
■
アンダースコアーズの新作『boneyard aka fearmonger』めっちゃいいな! 今年上半期に出た前作『fishmonger』はフォーキーなハイパーポップといった感じの傑作だったが、今作はフォーキーな色合いは若干残しつつも全体的にはパンク・ロックなハイパーポップといった趣き。「Toungue in cheek」にはブリンク182のトラヴィス・バーカーも参加しております。
■
ビル・フォーサイスの『ザット・シンキング・フィーリング』はイギリス(グラスゴー)の貧困にあえぐ若者達が台所のシンクを盗んで売りさばこうとする話。わざわざ「台所のシンク」が選ばれているところから、これがイギリスのキッチン・シンク・リアリズムをモチーフとしたコメディであるということが分かる仕組みだ。