10月20日開催の「サム・フリークス Vol.6」で上映されるであろう2作品の貴重な日本版VHS。1970年に英国で公開された『若草の祈り(原題:The Railway Children)』は本国では児童映画クラシックで、この作品を観て育った子供達が大人になってレイルウェイ・チルドレンというバンドを結成、そんなレイルウェイ・チルドレンに影響を受けた日本人が「チルドレン」の名を引き継いでMr.Childrenを結成するんだから、日本に住む人間にとっても縁の深い映画であると思います。
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就職活動や転職活動で落選し続けると、自分自身の存在を否定されているかのようで、精神的に物凄く堪えるじゃないっすか。でも、養護施設で暮らす親のいない子供達は、養子を求める親候補の人々が日々現れては消えていく環境の中で生活しているわけで、あの辛い心境をずっと味わいながら生きているのだ(しかも、歳を重ねれば重ねるほど彼等を引き取ろうとする人の数は減っていく残酷な現実)。だからそれは絶対に絶対に他人事なんかではない、という当たり前だけど本当に大切なことを描いているのが『Instant Family』。心ある全ての人に観てもらいたいと思っています。
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おいら的には現時点で今年のベスト1映画である『Instant Family』が『インスタント・ファミリー 本当の家族見つけました』という邦題でDVD・配信スルーでのリリースが決定! 販売元はNBC ユニバーサル・エンターテイメントジャパン合同会社。何はともあれ、とりあえずリリースしてくれるだけでもありがたい。反骨精神(ローズ・バーンが啖呵を切るシーンの素晴らしさ!)と優しさに溢れた大傑作なので、リリースされたらぜひとも観てください! ウイングスの「Let 'Em In」から始まって、その歌詞による複線がラストで回収されるという構成も完璧すぎる。「サム・フリークス」のイベントの基本理念とも通じ合う作品です。この映画を観た方と酒を飲みながら10時間は語り合いたい。よろしくお願いします!
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ゆるふわギャングのNENEも参加しているケミカル・ブラザーズの新作『No Geography』はアシッド・ハウス色が濃いめの仕上がりでなかなかいい感じ。円熟したポップネスを放つケミカル・ブラザーズ版『人間と動物』といった趣き。
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ちなみに『荒野にて』という邦題は抽象的すぎてあまり良くないと思う。というか、これだと『Lean On Pete』というタイトルで少年とピートの関係性についての話だと思ったら…というプロット上のツイストの効果を弱めてしまっているので。『Lean On Pete(ピートを頼って)』というタイトルに象徴的なように、少年にとってはピートの存在こそが希望であり生きる力であったのに、という(それでも彼は生きていかなくちゃいけないのだ)。